2008年07月04日

勇気について

 空港の待合室だった。私たちはソファで寄り添って座り、出発の時刻までを過ごしていた。彼が胸をかしてくれた。私は彼の胸にもたれていた。瞼を閉じ、うつらうつらとしていた。
 その時のことだ。その時、私が考えていたのは、勇気についてだった。とくとくとく。と、彼の心臓の音が聞こえていた。

 自分ひとりが弱い人間だと思っているときや、自分ばかり強い人間だと感じているとき、私はいつも、さみしさに襲われる。だがたぶん、大丈夫なのだ、と思ったのだ。そうしてさみしさに襲われて、ひとり天を仰ぐときがこの先何度もあったとしても、私は生きていける。
 あの時の、彼の胸のあたたかみ、彼のあたたかな心臓の音。あの瞬間を、いつでも思い出せる。生きていける。いつか深い孤独を感じても。かなしみの波にのまれても。

 空港の待合室のソファだった。寒い季節だった。寄り添って座り、私は彼の胸にもたれて、あわい眠りを眠ろうとしていた。
 あの時、彼の心臓の音をきいて、そして、詩を書きたいと思った。彼の胸のあたたかみや心臓の音。そういう詩を書きたい。そういう、勇気についての詩を。
posted by bkntmrg at 21:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 詩・うた・言葉 | 更新情報をチェックする
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